1.塗装の目的と役割

1.塗装の目的と役割

 建築物塗装の主目的は、建物の保護と美観である。塗料は、被塗物の表面に塗り広げられて、乾燥固化して連続した皮膜を形成する。この皮膜を塗膜という。塗膜のもつ性能は、保護や美観、そして、いろいろな機能として発揮される。

 また、塗装によって得られる色は、機能配色として、生活環境の調整・仕事の能率増進、安全への働きかけ、商品価値の向上など、多くの面で活用されている。

 建築工法の発展は、高層化とプレハブ化に象徴される。現在では、各種の新建材が出現し、その仕上げ方法も多様化している。

 最近では、保護・美観のほかに、被塗物の表面にいろいろな機能を与える塗料が開発されている。この種の塗料を、一般に特殊機能性塗料と呼ぶ。同時に、工法や塗装機器の開発も進められて、建築物の塗装は、時代のニーズの変化に応じて新しい展開がなされている。

3.段取りと手配

3.段取りと手配

 作業を順調に進めるには、必要な材料や労務、そして施工機械の器具などの準備や搬入の手はずを確実に整えることが大切である。作業の手順をあらかじめよく打ち合わせ、作業の進行中に予想される技術上の問題点などについては事前に解決しておき、材料待ち、段取り待ち、他の仕事と重なる仕事待ちといった、現場の手持ちや手もどりが生じないようにしなければならない。

 作業の順序や方法を決めて、それに従って必要な機械器具などを用意したり、材料や労務の発注時期を決めたり、現場における作業の打ち合わせをしたりで、作業の下準備をすることを段取りといい、段取りにもとづいて材料や労務を発注し、あらかじめ作業に支障のないような措置を講ずることを手配という。段取りと手配はともに手落ちのないように準備することが必要であり、工事の能率は段取りいかんにかかっているといえよう。

 材料については、必要な数量と所要納期を明確にして準備させる。現場に保管場所があれば、値段や数量などを交渉して前もって発注し、搬入した資材を検査した上で保管しておけば、工程に合わせて準備することができるが、現場が狭いと、作業に合わせて搬入することになるので、手配をおこたると、労務者はそろったのに材料がなかったり、数が不足したりして、職人を遊ばせることになり、工事が遅れることにもなるので十分注意すべきである。

 材料と労務は、どちらか一方が欠けても工事の進行は停滞してしまう。したがって必要な労務の人数は、材料の手配と関連しながら、工程表をもとにして、仕事の量と進み具合から何人工必要であるかを決めて、工事に間に合うよう手配しなければならない。

2.工程計画と工程表

2.工程計画と工程表

 工程に関する要素は、”いつ””何を””どれだけ”行うかということである。材料の確保や入手の時期、労務者を何人、何の工事に、何日間使うとか、いかなる工事をいつから始めていつまでに終わらせるかといった、工事の順序とそれに要する施工時間との関係を工程表に表わして、工事の進行予定を定める。

 工程の計画にあたっては、技術的な条件、予算や資金との関係、関連職種の工程、さらに工事の時期や気象条件などについての調査結果を十分検討しておく必要もある。

 工程表には、工事の始まりと終了の時期と工事数量を明記し、さらに材料の注文日と納入予定日、必要な図面の希望受取り日なども記入しておくとよい。

 気候や天候などによる季節的な注意や休業時間などを表示しておくことも大切である。

1.施工計画

1.施工計画

 設計図及び仕様書によって、工事の内容を十分研究するとともに、現場条件の調査などの準備段階でそろえた資料をもとにして、次にいかなる方法で工事を行ったらよいかを検討する。つまり所定の工期内に、所定の品質や精度のもとで、決められた予算ないで仕上げることができるような工事の方法を検討して、作業方法や工程計画、労務及び資金計画にいたるまでの計画を立てて、適正な工事ができるようにしておく必要がある。一般には次のような内容を検討しながら、工事を進めるための計画を立案していく。

(1)工事条件の検討

 工事の内容、技術的な条件、規模など、これらの調査研究は、準備段階で十分に検討されているはずであり、これらを整理して合理的な工程計画を準備し、工期に合わせる計画を立てる。

(2)作業方針・作業方法の決定

 設計図と仕様書で示された工事内容及び工事の特色や特殊な部分などについて、総合的に検討研究する。

(3)作業順序(工程表)

 作業方針を立てたら、これをもとにして工程表を作成する。

(4)作業用機械、器具の検討

 工程をもとにして、使用する機械や器具の種類、数量、所定日数等を割り出して、使用計画表などを作成する。

(5)施工準備

 足場や作業床、安全防護設備、仮設倉庫などの設置について検討しておくが、工事の進行にしたがって、移動や撤去が必要となるので、全行程を研究して適切な時期に行えるようにして、工事に支障を生じないようにする。

(6)必要な労働力を確保したうえで、労働時間を決め、作業が安全に、工程通りに進むように目安をつけなくてはならない。

(7)資材の獲得と使用計画

 工事に必要な材料を、適切な時期に搬入するためには、まず材料を清算をして、注文、納入、保管、・使用という順序で、それぞれの計画を立てるが、搬入が早すぎてもじゃまになるし、遅ければ工事に手待ちを生じて工程が遅れるなどの問題が出ないように、十分工程を検討した上で考えなければならない。

 特に市街地での工事や住宅などの場合は、現場に十分な置き場がないのが普通であるから、材料の納入時期に関しては細かい配慮が必要であり、交通事情や天候などの輸送に影響する事例についても、注意しておくべきである。