現場の調色は、人が視覚によって経験的に覚える技能であり、塗料を扱う者にとっては重要です。
通常、調色は白塗料に原色を少量ずつ加えながら作業しますが、まずは指定された色見本を見て、使用する原色の種類を選ぶことから始まります。
原色の基本は、白・黒・赤・青・黄で、どの程度の量が必要か見当をつけて、量を多く添加するものから混入していきます。原色によって、着色力に差があるので事前に確認しておく必要があります。特に、黒は添加し過ぎると調整しにくいので注意が必要です。
調色に用いる塗料は、原則、同一メーカーの物を使用しますが、この場合は混合する割合に制限がなく、淡彩色から濃彩色まで調色できます。
一方、着色専用の原色も市販されていますが、この場合は添加量に制限があり、淡彩色の範囲で使用した方がよいでしょう。
着色した塗料が色見本と比較して色があっているかどうか判定することを比色といいます。
色は光の性質が変われば変わって見えるため、比色の基準が決められています。
比色は、比色する2色の見本を並べ、直射日光の当たらない北側の窓際から50cmくらい内部に入った明るい場所が最適で、光と視線の角度は45度になるように定められています。
塗料は未乾燥の状態と乾燥した状態では、色が異なって見えます。
一般的には、未乾燥状態から乾燥すると、色が濃くなる傾向があり、「色ののぼり」と呼ばれています。比色は乾燥した見本で行うことが重要です。
日常、塗装業者は、得意先の要求によって、現場で見本塗りをして色を決定したり、少量の調色の例が少なくないので、必要な知識と調色能力を身につける必要があります。