1.調色とは

1.調色とは

 調色は、一般には「色合わせ」と呼ばれ、指定された色彩の塗料を作る作業である。まず、少量で予備調色し、次に指定量となるように増量する。作業手順は以下に示す①~③に要約でき、作業が進められる。

 ①塗料の原色のうちから、使用するものを選択する。

 ②この原色の少量を適宜調合して、指定された色彩の塗料を作り出す。

 ③要求された量になるように、原色の割合を変えることなく増量する。

 調色をするためには、見本色の確認をする(見本色は、一般に、塗装された現物や塗り板、色見本帳やマンセル記号で提示される)ことと、指定された塗料から使用できると思われる原色の塗料を選択することが重要な作業である。調色作業は、趣味や嗜好で絵をかくのとは異なり、あくまでも生産行為であるから、ただ単に色合いのみを合わせればよいのではなく、むり、むだ、むらのない作業が要求される。

5.塗替えの工程

5.塗替えの工程

(1)一般の塗装の場合

 全面を除去した場合は、素地調整を行って、新規の塗装工程と同様に仕上げる。

 一部を除去した場合は、はがした部分を研磨後、下塗りを施す。下塗りは、合成樹脂調合ペイント塗りの場合、鉄面には錆び止め塗料を、木材面には木部下塗り用合成樹脂調合ペイントを用いる。鉄面、無機質面の塗替えでは、下塗りの選択が重要で、塗替えの第三の要点である。

 そのまま上に上塗りを施す場合もあるが、美観を主とする場合は、旧塗膜をはがした境目をP120前後の研磨紙でなるべく平滑にした後、部分的に下塗りを行う。

 凹凸を修正する必要がある場合は、パテしごきをして、見た目を美しくする。その後は、前面に中塗りを施し、さらに上塗りをする。

 

(2)吹付け材塗りの場合

a 旧塗膜を全部除去する場合

 仕上げ塗り材の選定は自由である。

b 旧塗膜を存続させる場合

 旧塗面の素地ごしらえを行って乾燥後、仕上げ塗りを施す。

c 旧塗膜を一部除去する場合

 旧塗膜と同系の吹付け材で除去した面に吹付を行い、ほかの面とパターンを合わせる。乾燥後、全面に仕上げ塗りを施す。

3.旧塗膜の種類と塗装系の調査

3.旧塗膜の種類と塗装系の調査

 旧塗膜を全部除去する場合は、塗替え用の塗料を自由に選択してかまわない。

 旧塗膜を存続させる場合と、一部除去する場合は、塗替えの塗装系は旧塗膜と同一系か、又はそれになじむ塗料でなければならない。

 そこで、旧塗膜の種類と塗装系の調査が必要であり、その判断を誤らないことが、塗替えの第2に要点である。しかし、被塗物の素材の種類によって、用いられた塗装系は限られるので、おおよそのことは知ることができる。旧塗膜の種類の判別に、専用の検査用薬剤を塗布して種類を見極める方法もあるが、これも完全に種類を確定できるまでには至っていない。