8 多彩模様塗料の塗装

8 多彩模様塗料の塗装

 多彩模様塗料塗りでは、必ず使用する多彩模様色を基調とした合成樹脂エマルションペイントの調色品を下塗りすることが不可欠である。

 多彩模様塗料は、水や溶剤の中に分散した粒子状の塗料なので、連続塗膜は作らずに、下塗りの上にパラパラと斑が置かれていく感じである。

 したがって、均一にやや厚めに塗り付けることが仕上り性を高めるために重要である。

 塗料使用前に撹拌するが、軽く混ぜる程度で機械撹拌などは避けなければならない。

 塗装には専用の吹付け用ガンを使用する。

7 合成樹脂エマルションペイントの塗装

7 合成樹脂エマルションペイントの塗装

 主に外部用(1種)と主に内部用(2種)とがあるが、用途はほとんど一般内部用で、主に外部用は高級仕上げ用、主に内部用は一般仕上げ用として使用されることが多い。

 また機能形塗料として低VOC形、低臭気形、抗菌形、防かび形、ビニルクロス面用などがある。

 水性系なので火気に対する危険性が少なく、環境・安全にも優しいので、需要は増加している。

 合成樹脂エマルションペイントは作業性がよく、隠ぺい力(かぶり)も良いので、大変扱いやすい塗料である。

 モルタル、せっこうプラスターなど壁面や、各種ボードを用いた天井、木部の間仕切りなど使用範囲は広い。鉄部には原則として使用しないが、やむを得ず塗装をする場合は、さび止め塗料で十分な処置をしてから塗装することが必要である。

 塗替え用途で下地にタバコのヤニなどの汚れがある場合は、ヤニ止め、シミ止め用シーラーを使用する。

6 速乾形エナメルの塗装

6 速乾形エナメルの塗装

①ラッカーエナメル:鉄部、木部に使用

②塩化ビニール及びアクリルエナメル:コンクリート、モルタルなどの壁面に使用。

 ラッカーエナメルは特に乾燥が早く、塗装はエアスプレーで行う。光沢良く仕上がるが、現場施工からは減少している。

 塩化ビニル樹脂エナメルは、浴室・厨房・ガソリンスタンドの防火壁などに使用されていたが、環境問題、安全衛生問題から激減し、平成16年度版公共建築工事標準仕様書からも削除された。

 アクリル樹脂エナメルは外装材の仕上げ材に多用されていたが、やはり環境問題から減少している。

 このように、速乾形の強溶剤形塗料は減少の一途を辿っており、現在は、つや有り合成樹脂エマルションペイントに変わってきている。塗装上の注意点は合成樹脂調合エマルションペイントと同じである。

5 クリヤ(透明仕上げ)の塗装

5 クリヤ(透明仕上げ)の塗装

 クリヤ仕上げに使用される塗料には、油性系クリヤ、1液形油変性ウレタン樹脂クリヤ、2液形ウレタン樹脂クリヤ、アクリル樹脂クリヤ、ラッカークリヤなどがある。

 木部のクリヤ仕上げには油性系クリヤ、ラッカークリヤ、1液形油変性ウレタンクリヤ、2液型ウレタン樹脂クリヤなどが使用される。

 クリヤ塗りでは、目止め、着色(ステイン)などを行ってからクリヤ仕上げする。ただし、仕上げに使用するクリヤ種によってステインの選択が必要なので注意する。例えば、油性系クリヤ仕上げを行うならステインはオイルステインを使用する。

 なお、1液形油変性ウレタン樹脂クリヤや2液型ウレタン樹脂クリヤは木部床に使用されることが多い。

 アクリル樹脂クリヤや2液型ウレタン樹脂クリヤはコンクリートのクリヤ仕上げやカラークリヤ仕上げに使用される。

 この場合の目的はコンクリートの肌を生かした生地仕上げであり、カラークリヤ仕上げである。

 いずれにしてもクリヤ仕上げでの注意点はパテや補修剤による補修を行わずに、あくまでも生地の自然観を生かすことが重要である。

4 オイルステインの塗装

4 オイルステインの塗装

 木材のみの塗装で、屋内、屋外共に使用されるが、屋外の場合は、木部の保護を目的に美粧性を生かしている。節止め、パテかいなどは、その部分のつやが目立ち、かえって見苦しいので行わない。

 屋内への使用は使用面積制限があるので注意する。なお、最近脚光を浴びている油性系自然塗料の場合、ホルムアルデヒドを乾燥時に放散するものがあるので、居室に使用する場合は、十分に確認してから使用する。