1.木構造

1.木構造

 構築物の土台・柱・はり・小屋組などの骨組の大部分を木材で作ったもので、この構造物を木構造または木造といい、架構式構造に属している。

 構造は、基礎の上に土台をおき、柱を立てる。柱の上に、けた・はりを置き、柱間は間柱・ぬき・筋かいなどで固める。けた・はりに小屋を組み、屋根をふく。内部に天井・床・間仕切りを設ける。外部は、板・鋼板・ボードなどを張ったり、モルタル塗りなどの壁で仕上げる。

 木造は壁体の仕上げ方によって真壁造と大壁造とに分けられる。真壁造は古来わが国に伝わってきたつくりで柱が室内にあらわれるが、大壁造は柱が部屋の内部にあらわれない。

 木造建築は、鉄筋コンクリート造や鉄骨造などに比べて重量も軽く、加工しやすく、工期が短く、工費も一般に低廉であるが、最大の欠点は、火災には全く無力であることである。また腐りやすく耐久性に乏しい。しかし、外壁をラス・モルタル塗りとすればある程度の防火性は期待できる。中高層建築や大規模の建築には適しない。最近は木材資源も乏しく、あまり安価にできなくなってきている。木構造において、最も注意しなければならないことは、耐震・耐風の点で次のことに注意するとよい。

 ①建物の平面はなるべく単純な形とし(正方形に近い方がよい)、複雑な形をさける。

 ②基礎は、鉄筋又は無筋コンクリート造の布基礎とし、土台をアンカーボルトで基礎に緊結する。

 ③壁量を十分にとり、筋かいを有効に配置する。

 ④火打ち材や方づえ、ふれどめ等を有効に取り付ける。

 ⑤継ぎ手・仕口は、複雑な工法を避け、金物で補強する。

 ⑥2階建てでは、隅及び要所に通し柱を設け、間仕切り壁はなるべく、各階同一箇所に設ける。

 ⑦2階建てで広い室を取る場合は、壁量がとりにくいので、なるべく2階に設ける。

 ⑧屋根ふき材は軽いほうが耐震上有利である。

 ⑨壁は、真壁より大壁の方が耐風・耐震上有効にしやすい。

 最近、ツーバイフォーとして紹介されている2インチ×4インチの平角材を、軸組材の大部分に使う枠組壁工法が、省力化の立場から採用されている。

各種建築構造の概要とその特徴

 建築物の定義は、建築基準法で『土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱もしくは壁を有するもの、これに付属する門もしくは塀、観覧のための工作物または地下もしくは高架の工作物内の設けられる事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設をいい、建築設備を含むものとする。』という抽象的表現になっているが、要するに人間生活の容器であって、人間が生活する目的に合うように造られたものをいうのである。したがって、生活が単純であった古代においては、建築の種類も少なかったが文明の発達とともに人間生活の範囲も非常に広くなり、その要求を満たすための新しい材料の開発、工法の改良などによって建築物の種類も時代の進展とともに多種多様となってきている。

 一般の建築物は、主として骨組の組立て方によって、建築物全体の構造形式を分類している。

架構式構造 通常の木構造や鉄骨構造の軸組などのように、柱、はりなどの細長い部材を組み合わせて骨組をつくり空間を構成する方法で、部材の配置と接合方法とが強さに大きく影響する構造である。

組積式構造 石、れんが、コンクリートブロックなどのように小さい材料を組み合わせ、積み重ねて建築物を構成するもので、石造、れんが造、コンクリートブロック造などがある。

一体式構造 鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造のように現場で型わくを組んで、基礎、主要構造物(壁・柱・はり・床―最下階の床をのぞく―・屋根または階段)を全部一体として作り上げる構造形式である。

6 鉄骨工事の塗装

6 鉄骨工事の塗装

(1)工場塗装の要点

 新築工事の際の鉄骨は、加工場で素地調整と第一回目のさび止め塗装が施される。この塗装を「工場塗装」という。工場塗装では、現場での組立て作業に支障がないように、特別な指示がない限り、下記の部分は塗装しない。

 ①コンクリートに接触または埋め込まれる箇所

 ②組み立てにより肌合わせになる箇所

 ③高張力ボルト摩擦接合部の摩擦面

 ④密着または回転のため、削り仕上げを施した箇所

 ⑤閉鎖形断面を持つ部材の密閉される内面

(2)現場塗装の要点

 鉄骨が現場に搬入され、組立工事が終了すると現場塗装に着手するが、次の処置を行う。

 ①現場溶接で生じたスラグは塗膜劣化の原因になるので、ワイヤーブラシなどのケレン工具を用いて入念に除去する。

 ②現場打ちしたりリベット周辺や溶接による塗膜の焼損部は、研磨布、ワイヤーブラシなどでよく取り除く。

 その後、工場塗装で未塗装の部分や建て方までに損傷した箇所などを、同種のさび止め塗料で補修塗りする。この補修塗りと次の現場塗装の第2回目のさび止め塗装を行う。次いで、中塗り、上塗りなど必要な塗装を行う。塗装ははけ塗り、ローラー塗り、エアレススプレー塗りなどで行われる。

(3)塗装上の注意事項

 ①構造物はアングルその他の細物が多いので、膜厚が均一に付くように注意して塗装する。特に細物塗装では、塗装によるかすれに注意する。

 ②構造材の下端、リベットの頭部とその周辺、部材と部材の接合部の隙間、継ぎ板やかい板をはさんだアングル二丁合わせの隙間などは丁寧に塗装する。

5 石目塗り仕上げ

5 石目塗り仕上げ

 石目塗りの場合も下地作りや仕上げの方法は、基本的には木目塗りと同じである。 石目模様仕上げも、「御影石」「青大理石」「白大理石」などがある。ここでは、御影石仕上げを紹介する。

 ①地板 アンダーコート

イラストボードに用意した黒色エマルションペイントを全面に均一に塗装する。

 ②グレージングペイントの作成

A色:ペイント白1 対 亜麻仁油1 対 グレージングリキッド1

B色:ペイント黒1 対 亜麻仁油1 対 グレージングリキッド1

 ③下塗り

少量白の混ざったグレージングオイルを、黒色ベース塗りしたイラストボードに薄くしごくように塗装する。

 ④スポンジング調整

あらかじめシンナーで湿しておいた海綿(スポンジ)を堅く絞る。

 ⑤石目模様色付け

A色=5 対 B色=1の割合でグレージングペイントを混ざらないように注意しながら海綿に含ませ、上端から下端へと手首を交差しながらスポンジングを繰り返し、イラストボード全面に均一に白柄、黒柄を散りばめる(この時に、多く白色・黒色を付けすぎないようにする)。

 ⑥色境ぼかし

バッシャーブラシを使って、スポンジングの上を上下左右に往復ぼかし操作を加えながら色境を和らげる。

 ⑦バランス調整

配りムラ、斑のバランスを見極め、不足の場合は、5~6の作業を繰り返す。

 ⑧48時間乾燥する。

 ⑨仕上げ

〇漂白セラックニス 1回塗り

〇ウレタンクリヤ 1回塗り

4 木目塗り仕上げ

4 木目塗り仕上げ

 木目塗り仕上げには「たも」「欅」「杉」「楢」「マホガニー」などを描き出す手法がある。

 ここでは、「欅板目模様仕上げ」について紹介します。

(a)作業手順

 ①グレージングペイントの作成

 油絵の具の場合は亜麻仁油 1 : シンナー 1 : グレージングリキッド 1 の混合油(以下グレージングオイルという)を希釈剤としてブラウン系3色のグレージングペイント(半透明の塗料)を作る。

 ②地材へのアンダーコート塗り

 イラストボードに、サテン系ベージュ色のエマルション塗料を用いて均一に半つやで仕上げる。

 ③1~2時間乾燥させる。

 ④A色(B17-50L)の色を少し加えたグレージングオイル(ペイント)で、アンダーコートにほのかなブラウン色が着色する程度に、全面に塗り拡げる。

 ⑤板目の芯に近い部分に、C色(B15-40Hの赤味のあるブラウン)グレージングペイントで板目の芯部分を板目上に塗込みを行う

 ⑥グレージングペイントが乾燥する前に、フロッガー刷毛で塗面を上から下に軽く叩き塗りし、斑をぼかして木の繊維を演出する。

 ⑦A色の、半透明に濃度を変えたペイントで板目の木目柄を描き込む。欅独特な木目を調査し、その外側に重ねるようにB色(B15-30F)の濃いブラウン色のリキッド混入ペイントで板目を2重描きする。描いた後を堅い毛のはけで毛先を揺すりながらなぞる。2色が一部混合してもよい。

 ⑧バッシャーブラシを用いて板目芯より外側に下方から上方向へ一方方向でなぞる作業を繰り返して、色境をぼかすように仕上げる。

 ⑨地塗りと木目色の色差を和らげるために、木目色乾燥後ラックニスを塗り、さらにグレージングペイントを全面に塗り、斑を馴染ませる。バッシャーブラシの先端を押さえながら、5cm間隔前後で木の繊維表情を描く。この作業は、極端な色差を和らげるとともに、欅特有の木孔、冬目の年輪感を描き出す技法である。

 ⑩48時間乾燥させる。

 ⑪仕上げ

  〇漂白セラックニス 1回塗り

  〇ウレタンクリヤ 1回塗り