6 鉄骨工事の塗装

(1)工場塗装の要点

 新築工事の際の鉄骨は、加工場で素地調整と第一回目のさび止め塗装が施される。この塗装を「工場塗装」という。工場塗装では、現場での組立て作業に支障がないように、特別な指示がない限り、下記の部分は塗装しない。

 ①コンクリートに接触または埋め込まれる箇所

 ②組み立てにより肌合わせになる箇所

 ③高張力ボルト摩擦接合部の摩擦面

 ④密着または回転のため、削り仕上げを施した箇所

 ⑤閉鎖形断面を持つ部材の密閉される内面

(2)現場塗装の要点

 鉄骨が現場に搬入され、組立工事が終了すると現場塗装に着手するが、次の処置を行う。

 ①現場溶接で生じたスラグは塗膜劣化の原因になるので、ワイヤーブラシなどのケレン工具を用いて入念に除去する。

 ②現場打ちしたりリベット周辺や溶接による塗膜の焼損部は、研磨布、ワイヤーブラシなどでよく取り除く。

 その後、工場塗装で未塗装の部分や建て方までに損傷した箇所などを、同種のさび止め塗料で補修塗りする。この補修塗りと次の現場塗装の第2回目のさび止め塗装を行う。次いで、中塗り、上塗りなど必要な塗装を行う。塗装ははけ塗り、ローラー塗り、エアレススプレー塗りなどで行われる。

(3)塗装上の注意事項

 ①構造物はアングルその他の細物が多いので、膜厚が均一に付くように注意して塗装する。特に細物塗装では、塗装によるかすれに注意する。

 ②構造材の下端、リベットの頭部とその周辺、部材と部材の接合部の隙間、継ぎ板やかい板をはさんだアングル二丁合わせの隙間などは丁寧に塗装する。

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