3.目止め剤

3.目止め剤

 木部の導管や切断面の穴に充填して平滑性を出すために用いる目止め用塗料です。

 仕上げにはエナメル仕上げとクリヤ仕上げがあり、木の導管や切断面の穴を埋めて平滑にする目的は共通ですが、クリヤ仕上げの場合、目止め剤によって着色してしまっては仕上がり不良になります。

 このため目止め剤に用いる充填剤(顔料)はクリヤ塗装したときに、より透明になることが望ましいです。

 体質顔料は充填効果があり、溶剤により湿潤すると隠ぺい性がなくなり透明になる性質があるので、この性質を生かしたのが目止め剤です。目止め剤に使用する体質顔料には、との粉、ご粉、クレー、タルク、炭酸カルシウムなどの体質顔料がありますが、一般的にはとの粉やご粉などが用いられます。

 使用時に、との粉やご粉を合成樹脂エマルションやボイル油で混練りしペースト状にしたものを、木部表面にすり込み、余分な目止め剤をふき取り、平滑な面を作ります。

2.着色剤

2.着色剤

 木部の木肌を生かした着色仕上げに用います。代表的な種類には、水性ステイン、NGRステイン(ノン・グレイン・ライジング:けば立ちが少ないの略)、オイルステイン、アルコール性ステインがあります。

 木肌を生かし着色するために着色剤には染料を使用しますが、外部用途には顔料が用いられます。

 ボイル油などの油性系クリヤで仕上げる場合はオイルステインで着色します。上塗りクリヤにクリヤラッカーなどの溶剤形が使用される場合は、NGRステインで着色します。

 昨今では主に外部用途として、着色しながら塗膜を形成する着色ステイン塗料(木部着色保護塗料)があります。

1.漂白剤

1.漂白剤

(1)漂白方法

 木部などの漂白には下記薬品が使用されています。

  ①次亜鉛素酸ソーダー

  ②過酸化水素

  ③過炭素ナトリウム

  ④フッ化水素

 漂白は「汚れとしての着色物質を酸化もしくは還元することで他の物質に化学変化させ、脱色させる」ことです。

 漂白は酸化タイプが主流で、次亜鉛素酸ソーダー、過酸化水素や過炭素ナトリウム、フッ化水素の持つ活性酸素の酸化力で、硬化を発揮します。

 健康問題から反応中に塩素を発生させる次亜鉛素酸ソーダー系は減少しつつあります。

 いずれにしてもこれらの薬品を使用して漂白したら、塗装前には十分に水拭きし、乾燥させてから塗装します。

2.3 うすめ液の取扱い

2.3 うすめ液の取扱い

 うすめ液は様々な有害性や引火性などがあるので、取扱いは細心の注意や管理が必要です。

 

(1)火気に対する注意

 うすめ液に用いる溶剤は一般に引火性が強く、容易に燃焼しやすい。したがって、保管を含め取扱いは、消防法で厳しく規制されています。また、安全衛生上の取扱いは労働安全衛生法に規則が定められています。

 これらうすめ液を用いての塗装作業では、必ず火気厳禁とし、電気器具などは防爆形を用い、十分換気を行うなど注意しなければなりません。くわえタバコなどは論外です。

 

(2)有害性に対する注意

 溶剤は大なり小なり有害性があります。溶剤が人体に与える有害性は、刺激作用、麻酔作用、臓器障害などがあります。

 対策として作業者の安全を守るために、労働安全衛生法の中に、有機溶剤中毒予防規則が定められており、作業を行う場合は、必ず、取扱作業主任者のもとで定められた安全管理を行わなければなりません。

2.2 うすめ液の種類とその特性

2.2 うすめ液の種類とその特性

 うすめ液は、塗料の種類に適合するように作られたものと、要求条件、例えば乾燥を早めたり、遅らせたり、高湿度で塗装できるように調整するものがあります。

 ここでは、代表的なうすめ液について説明します。

 

(1)塗料用シンナー

 油性調合ペイント、合成樹脂調合ペイントなどの油変性した塗料や、昨今はアクリル樹脂やポリウレタン樹脂を用いた非水分散形(NAD)塗料に使用されます。

 使用される溶剤の種類は、ミネラルスピリットに代表される脂肪族炭化水素類です。

 

(2)アクリル樹脂塗料用シンナー

 溶剤形合成樹脂塗料の汎用品がアクリル樹脂塗料ですが、主に外装仕上げに使用されています。

 うすめ液はトルエン、キシレンの調整用溶剤に、真溶剤として酢酸ブチル、酢酸エチルなどのエステル系や、MIBK、MEKなどのケトン類を混合してあります。

 このうすめ液は有害性の高い成分を含んでおり、使用時には安全衛生面を十分に考慮しなければなりません。

 

(3)2液形エポキシ樹脂塗料用シンナー

 エポキシ樹脂の真溶剤であるエチルセロソルブやブチルセロソルブなどのエーテル類やMIBK、MEKなどのケトン類の調整溶剤として、キシレン、トルエンなどが配合されています。

 アクリル樹脂塗料用シンナー同様に取扱には注意が必要です。

 

(4)2液形ポリウレタン樹脂塗料用シンナー

 ポリウレタン樹脂の真溶剤である酢酸エチルや酢酸ブチルなどのエステル類に調整溶剤としてトルエン、キシレンが混合してあります。

 アクリル樹脂塗料用シンナー同様に取扱には注意が必要です。

 

(5)ラッカーシンナー

 ラッカーは主にエアスプレーで塗装されるので、低粘度に調整されて塗装されます。

 このために吹付け塗装した塗膜がたれたり、しわができたり、あわが残らないように、溶解力や乾燥速度を調整した混合溶剤になっています。また白化(ブラッシング)防止用などの調整用うすめ液(リターダーシンナー)もあります。

 成分はエステル類、ケトン類、アルコール類や芳香族炭化水素類などが適量混合されています。