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1.塗料の分類とその種類
1.塗料の分類とその種類
塗料を塗装する目的は、保護と美装と機能にあります。
コンクリートや木材・鉄などは、そのまま放置すれば劣化し腐食してしまいますが、塗装することで保護できます。
自由な色彩や光沢、意匠によって美しさを付与するのが美粧です。
さらに、防カビ、抗菌、遮熱、超耐候性、落書き防止などの性能が機能です。
塗料は様々な要求に対応できるように、多くの種類が研究開発され上市されています。
<塗料の種類>
塗料 | 透明塗料 | ボイル油 油ワニス フタル酸樹脂ワニス フェノール樹脂ワニス 尿素樹脂ワニス 酒精ワニス クリヤラッカー 塩化ビニル樹脂ワニス アクリル樹脂ワニス エポキシ樹脂ワニス ポリウレタン樹脂ワニス シリコン系樹脂ワニス 常温乾燥形ふっ素樹脂ワニス |
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有色塗料 | 油性調合ペイント 合成樹脂調合ペイント フタル酸樹脂エナメル フェノール樹脂エナメル 尿素樹脂エナメル メラミン樹脂エナメル 塩化ビニル樹脂エナメル アクリル樹脂エナメル 合成樹脂エマルションペイント つや有り合成樹脂エマルションペイント アクリル樹脂系非水分散形塗料 エポキシ樹脂エナメル ポリウレタン樹脂エナメル 常温乾燥形ふっ素樹脂エナメル シリコン系樹脂エナメル ラッカーエナメル |
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仕上塗料 | 薄付仕上塗材 厚付仕上塗材 被装仕上塗材 可とう形改修用仕上塗材 |
<塗料の分類>
用途による分類 | 下塗り用・上塗り用 内部用・外部用・床用 |
塗装方法による分類 | はけ塗り用 吹付け用 ローラー塗り用 浸漬塗り用 静電塗装用 電着塗装用 フローコーター用 |
塗膜性能・機能による分類 | 一般用・テクスチャー(模様)用 防水用・結露防止用・防火用・耐熱用 防かび用・防藻用・抗菌用 防音・防振用 断熱用・遮熱用 電気絶縁用・導電用 防錆用 滑り止め用 張り紙防止用・落書き防止用 示温用 蛍光用・発光用 ストリッパブル用 |
仕上り状態による分類 | つや有り仕上げ用・つや消し仕上げ用 透明仕上げ用・デコラティブペイント仕上げ用 多彩模様仕上げ用・スウェード調仕上げ用 凹凸模様仕上げ用・砂壁仕上げ用 ハンマートーン用・メタリック用 |
塗料の状態による分類 | 溶剤形塗料 エマルション塗料・NAD形塗料 粉体塗料 |
被塗物による分類 | コンクリート用・鉄鋼用・木工用 プラスチック用・ゴム用・皮革用 |
2-4 研磨用工具
2-3 ケレン用工具
2-3 ケレン用工具
金属表面のさびを落とす方法に、化学的な酸洗法と機械的に落とす物理的方法があります。
機械的ケレン方法の代表がブラスト法です。ブラスト法は、砂、鉄の玉など、硬く細かい粒子を高圧の空気とともに吹き付けて、鉄面のさびや黒皮を落とすもので、砂を吹き付けてさびを除去するのがサンドブラスト、鋼球を吹き付けるのをショットブラスト、稜角のある鉄やガラスの粒子を吹き付けるのをグリットブラストといいます。
さび落としの工具としては、ワイヤーブラシ、皮スキ、スクレーパー、スーパーマジック、サンダーに取り付けるワイヤーカップブラシ、ジスクペーパーなどがあります。
旧塗膜を除去する方法に、化学的な剥離剤を使用する方法と、機械的に除去する方法があります。
剥離剤を既存塗膜に塗りつけると、塗膜が溶解したり、軟化・膨潤します。この塗膜をケレン工具を用いて除去します。
機械的除去は、サンダー、ダイヤモンドカップ、弾だんホイール、超音波の振動による超音波ケレン機、高圧の水及び温水を噴射して行う高圧洗浄工法などがあります。
手工具ケレンでは、ワイヤーブラシ、皮スキ、スクレーパー、スーパーマジックなどでケレンする方法があります。
2-2 ローラーブラシ
2-2 ローラーブラシ
2-2-1 ローラーを取り巻く環境
今後、塗料は環境への配慮からますます水性塗料が主流になります。
水性塗料は従来「エマルション」タイプが多く、「多機能形」「反応硬化形」「2液超低汚染形」などが市場で量販されるに従い、ローラーは「万能」から材料や用途に応じた「使い分け」の時代となっています。その背景には塗料のロスや飛散による養生の手間などから急速にスプレー工法が激減し、ローラー工法へとシフトされています。
また、ふっ素樹脂塗料やNB(厚膜)形塗料など、従来はローラー工法が採用されていなかった塗料も、最近ではローラー工法が普及しています。
2-2-2 ナップ型ローラーカバー
ナップとは繊維をパイル状にしたもので、従来は山羊の天然繊維を始めとして様々な素材が使われてきました。現在ローラーカバーに使用される主な素材は「アクリル」と「ポリエステル」に大別されます。一部防水用や高粘度用として「ナイロン」も使用されています。
どのローラーも100%使用ということは少なく、混用されているケースがほとんどです。
アクリルは溶剤に強く、耐薬品性にも優れています。ウールの特徴を持った合成繊維で水になじみますが、繊維自体はポリエステルに比べ強度は弱いです。
ポリエステルは耐溶剤・耐薬品性に優れ、水を含みにくい疎水性ですが、溶剤にはなじみやすい性質があります。繊維の強度はアクリルの約3倍もあり、毛抜けや毛切れが少なく耐久性があります。
ナイロンは工業生産されている繊維の中で最も強い部類に属し、強さは濡れてもほとんど変わらず、摩擦や折り曲げなどに対しても非常に丈夫で、耐薬品性及び耐油性にも優れています。
塗料と素材の相性関係
塗料/素材 | アクリル | ポリエステル | ナイロン |
水性エマルション塗料 | 〇 | △ | × |
多機能形水性塗料 | △ | 〇 | × |
反応硬化形水性塗料 | △ | 〇 | × |
ターペン形アクリル塗料 | 〇 | 〇 | × |
ターペン形ウレタン塗料 | △ | 〇 | × |
強溶剤形塗料全般 | △ | 〇 | × |
防水材・高粘度塗材 | × | × | 〇 |
〇・・・相性が良い △・・・相性があまり良くない ×・・・相性が悪い
2-2-3 原反(げんたん)
ローラーはナップ(以下原反という)を製造する機械の違いから編物と繊物に大別されます。
編物は「ハイパイル」といわれる編物で、織物は通称「ウーブン」といわれています。
「ハイパイル」の毛の形状は綿状に対して「ウーブン」は糸状になっています。糸は「より糸」と「無撚糸(むねんし)」に分かれています。
編物(ハイパイル)は糸状の繊維が複雑に絡み合って、いわば綿状になっている編物構造(ニット)であります。含みの良さ、扱いの点でいままでのローラーの主力になっています。仕上り面はローラー特有のゆず肌模様(ローラーマーク)となります。
織物(ウーブン)は縦横に交差する織物の目から糸が毛状に立ち上がり、それをより合わせています。無泡ローラーなどにも使用されている織り方で、泡がかみにくく、毛抜けや塗料の飛散も少なく、仕上り(ローラーマーク)は木目細かいのが特徴です。
原反構造による塗装性能比較
組織/塗装確認項目 | 被り性 | 仕上性 | 後れ毛 | 気泡 | 飛散性 |
編物(ハイパイル) | 厚い | ゆず肌調 | 初期あり | 速乾であり | ある |
織物(ウーブン) | 薄い | 平滑調 | 殆どなし | 殆どなし | 少ない |
2-2-4 毛丈
原反の長さは大きく分けて長毛(20mm以上で18mmや40mmが主流)、中毛(10~19mmで13mmが主流)、短毛(9mm以下で5mmが主流)の3種類に分かれていて、被塗面の状態や仕上がり用途に応じて使い分けます。
長毛はブロックの表面やコンクリートの打ちっ放し面など、粗面の塗装向けです。
中毛は粗面から平滑面までを万能用として多く使用されています。
短毛は塗料の含みは悪いですが、平滑な塗装面、例えば鉄板や塗り壁、平らな木板などを綺麗に仕上げるときに使用します。一般にパイル長が短いほどローラーマークが細かく、仕上りは綺麗になります。
2-2-5 ローラーカバーの種類
(1)レギュラータイプ(コア内径38パイ)
欧米から輸入されたころから幅広く使われてきた紙管タイプ(プラスティック管もあり)のローラーです。カゴ形の専用ハンドルを使用します。
(2)スモールタイプ(筒径15パイ)
小回りのきく細口径形。出隅、入隅、ダメ込み、タッチアップなどに最適です。狭く入り組んだ場所や見切り部分の、シャープで美しい仕上がりを得るために先端部にパイルを押し込んであります。
ワイヤー形状のハンドルにワンタッチで脱着可能で、軽くて作業性の良さから最近では最も多く使用されています。
(3)ミドルタイプ(筒径26パイ)
レギュラーとスモール両タイプの特性を活かしたオールラウンドに塗装する軽量・中間タイプです。広面積から小面積、入隅や入り組んだ場所も綺麗に仕上がります。
2-2-6 特殊ローラーカバー
(1)砂骨ローラー
砂骨材入り塗料や弾性タイル材を塗装するのに最適な多孔質ローラーです。塗料含みが良く、厚膜の塗装が下地塗りを兼ねて1回で可能、被塗装面・仕上がりにあわせて、標準目・細目・極細目の3タイプがあり、タイプはレギュラーとスモールで、コーナー用(そろばん型)もあります。
(2)パターンローラー
多様なデザイン壁を比較的簡単に製作できるもので、各種の表面模様のものが発売されています。
(3)ヘッドカットローラー
パターンローラーなどで塗装した塗面の凹凸面を押さえて滑らかにし、仕上りに変化を与えるローラーで、材質はプラスチック棒や管を使用しています。
(4)その他の特殊ローラー
縮緬模様仕上げ用でスチップル塗装に最適なスチップルローラー、水性専用のスポンジ製モルトローラー、アングル部やCチャンネル用の専用ローラーやパイプなどのR面・曲面部が能率的に塗装できるクッションローラーなどがあります。
2-2-7 ローラーの選び方
被塗物の塗料の物性に応じて選ぶことが重要であり、前項で説明した毛丈の違いや原反の材質及び組織の違い(編物・織物)により最適なローラーを選ぶことが重要です。
ローラーの材質による選択としては、溶剤形や環境対応形塗料ではポリエステルの相性が良く、エマルションなどの水性塗料においてはアクリルの相性が良いです。
組織の違いによる選択としては、凹凸のある外装面では含みと作業性に優れているハイパイルローラーが、内装などの仕上げではローラーマークが木目細かく平滑性に優れたウーブンローラーが好ましいです。
最近では外装に対応した飛散の少ない毛丈20mmのウーブンタイプの環境対応型ローラーが販売されています。