設計図及び仕様書をよく読解して、材料に関しては施工別、あるいは材料別に数量を算出し、これにその時点での単価を掛けて工事価格を計算する。工事の価格はすべてこの工事価格を基盤にして決定され、この工事価格を計算する作業を積算という。すなわち積算は、工事がいくらででき上がるかを予測する行為である。これに対して、見積りは、この工事をいくらにすべきかの見当をつける行為であって、積算にもとづいて、これに期待する利益を加えて見積り価格や入札価格を決める。
1.積算の方法
積算の方法には大別して概算積算と明細積算がある。
概算積算とは建物の規模を表す数量(面積)、あるいは主要材料又は施工数量(鉄骨量・コンクリート量)をもとにして、統計資料などの平均的な数値で、あるいは似たような条件の実例を資料として、大まかな予算を求める場合に用いられる。
明細積算は設計図・仕様書・施工計画などに基づき、工事価格を細部にわたって分析し、関連する費用を残りなく積み重ねて計算する方法で、一般に積算というときは明細積算のことをいい、概算積算を単に概算という。
積算に際して特に注意すべき事項としては、
①工事の種類・規模・設計程度など
②工事期間の長短や季節など
③工事の範囲・他の工事との関連
④近隣建物との関係
⑤施工方法・施工の難易・敷地の広さ
⑥支給材料・指定材料の有無
⑦かし担保などに関する条件
物価の変動・材料その他の需給の状況なども、見積価格を決める場合には、重要な条件となるため注意したい事項である。
2.見積書の種類とその内容
見積のための書式を大別すると2種ある。
①見積書(工事代金の総額などを記入)
②工事費内訳明細書
見積書の作成にあたっては、設計図及び仕様書を補完する意味で明細書を添付すべきであり、建築主あるいは設計者の見積り上の疑義や設計図又は、仕様書の変更に伴う工事費の増減について、適確に対応できるものではなくてはならない。また見積りで、除外(別途)工事を明記しておくことも大切で、工事に含まれないものを明記すれば、それ以外のことで設計図にあるものは全部工事に含むということで、実際の施工範囲と責任が明確になる。