塗装作業を進めるうえで、特別な場合に限り必要とされる材料を補助材料と呼びます。
補助材料は常時使用されるわけではありませんが、塗装工程上、それぞれ欠くことのできないものです。
塗装作業を進めるうえで、特別な場合に限り必要とされる材料を補助材料と呼びます。
補助材料は常時使用されるわけではありませんが、塗装工程上、それぞれ欠くことのできないものです。
(1)漂白方法
木部などの漂白には下記薬品が使用されています。
①次亜鉛素酸ソーダー
②過酸化水素
③過炭素ナトリウム
④フッ化水素
漂白は「汚れとしての着色物質を酸化もしくは還元することで他の物質に化学変化させ、脱色させる」ことです。
漂白は酸化タイプが主流で、次亜鉛素酸ソーダー、過酸化水素や過炭素ナトリウム、フッ化水素の持つ活性酸素の酸化力で、硬化を発揮します。
健康問題から反応中に塩素を発生させる次亜鉛素酸ソーダー系は減少しつつあります。
いずれにしてもこれらの薬品を使用して漂白したら、塗装前には十分に水拭きし、乾燥させてから塗装します。
木部の木肌を生かした着色仕上げに用います。代表的な種類には、水性ステイン、NGRステイン(ノン・グレイン・ライジング:けば立ちが少ないの略)、オイルステイン、アルコール性ステインがあります。
木肌を生かし着色するために着色剤には染料を使用しますが、外部用途には顔料が用いられます。
ボイル油などの油性系クリヤで仕上げる場合はオイルステインで着色します。上塗りクリヤにクリヤラッカーなどの溶剤形が使用される場合は、NGRステインで着色します。
昨今では主に外部用途として、着色しながら塗膜を形成する着色ステイン塗料(木部着色保護塗料)があります。
木部の導管や切断面の穴に充填して平滑性を出すために用いる目止め用塗料です。
仕上げにはエナメル仕上げとクリヤ仕上げがあり、木の導管や切断面の穴を埋めて平滑にする目的は共通ですが、クリヤ仕上げの場合、目止め剤によって着色してしまっては仕上がり不良になります。
このため目止め剤に用いる充填剤(顔料)はクリヤ塗装したときに、より透明になることが望ましいです。
体質顔料は充填効果があり、溶剤により湿潤すると隠ぺい性がなくなり透明になる性質があるので、この性質を生かしたのが目止め剤です。目止め剤に使用する体質顔料には、との粉、ご粉、クレー、タルク、炭酸カルシウムなどの体質顔料がありますが、一般的にはとの粉やご粉などが用いられます。
使用時に、との粉やご粉を合成樹脂エマルションやボイル油で混練りしペースト状にしたものを、木部表面にすり込み、余分な目止め剤をふき取り、平滑な面を作ります。
研磨材を形状的に大別すると次の3種類に分けられます。
①固形状なもの ・・・ 砥石など
②弾性状なもの ・・・ 研磨紙、スチールウールなど
③流動状なもの ・・・ ポリッシングコンパウンドなど
それぞれ目的は異なりますが、道具を研磨したり、下地や素地を研磨したり、仕上げ面の仕上がり精度を向上させるために研磨します。
油性塗料は酸化重合で乾燥しますが、乾燥時間が遅く、特に冬期低温時にはさらに乾燥が遅くなるので、乾燥を早めたいことがあります。
油性塗料には、もともと乾燥促進剤(ドライヤ)が配合されていますが、この乾燥速度を速めるために規定量添加して乾燥を早めるのが乾燥促進剤(ドライヤ)です。
乾燥促進剤には、鉛系、マンガン系、コバルト系、ジルコ系などがあり、それぞれを添加すると、酸化重合を促進し乾燥が早くなります。
ただし、添加量が多すぎると、乾燥バランスが崩れチヂミが発生したりするので注意が必要です。
つや出し剤として使用されるのは市販のワックスで、ポリッシングコンパウンドなどで磨いた後に、さらに光沢のある塗装面にするために用いられます。
ワックスは大別すると下記の種類に分けられます。
①植物系ワックス ・・・ 木ろう、ライスワックスなど
②動物系ワックス ・・・ みつろう、ラノリンなど
③鉱物系ワックス ・・・ モンタンワックスなど
④石油系ワックス ・・・ パラフィンなど
市販のフロアーワックスや家具用ワックスは、鉱物系ワックスと石油系ワックスを主成分に使用したものが多いです。
剥離剤は既存の塗膜を除去するときに用います。
剥離剤の種類を大別すると下記の種類に分かれます。
(a)溶 解 形 ・・・ 既存塗膜を溶解することで、剥がしやすくします。
(b)軟化膨潤形 ・・・ 既存塗膜を軟化膨潤させることで、剥がしやすくします。
(a)溶解形
溶解形は古くから使用されているタイプで、塩素系溶剤をベースに造られています。
既存塗膜に規定量塗装すると、剥離剤成分が既存塗膜に浸透しながら溶解し、ヘラなどの工具で除去できる状態になります。
溶解形は乾燥が早いので、塗り付けてから剥離するまでのタイミングが難しく、一般的には少量のビニル樹脂などが配合してあり、これが蓋の役目をして効果を十分に発揮させると同時に、作業しやすくしています。
なお、塩素系剥離剤は環境問題から使用しにくくなってきています。
(b)軟化膨潤形
軟化膨潤形は水性系が主流で、既存塗膜に塗装すると、剥離成分がゆっくりと浸透し塗膜を軟化膨潤させます。
このタイプは既存塗膜に塗装後、8時間以上放置してから塗膜を除去するタイプが多いです。
塗膜の除去方法は小面積ならヘラなどの手工具でよいですが、面積大きい場合は高圧水洗法が有効です。
リターダーは、高湿度条件で乾燥の早いラッカーなどを塗装する際に発生するブラッシング(白化現象:塗膜の表面が白く曇った状態になる)を防ぐために使用されます。
高湿度条件で早くうすめ液が蒸発すると、気化熱によって塗膜表面に結露が発生し、塗膜が白く曇ることになります。リターダーを添加すると乾燥が遅くなり、結果的に塗膜表面の結露を防止できます。
市販のノンブラッシングシンナーは、ラッカーシンナーなどにリターダーを配合したうすめ液で、ブラッシング防止に使用できます。
(1)こし紙
こし紙は、エアースプレーするときなどの、少量の塗料をろ過するときに用います。
こし紙には吉野紙の名称で市販されている和紙が使用されてきましたが、昨今は不織布やプラスチック、金属製のものが使用されています。
(2)マスキングテープ
粘着テープの1種で、和紙に接着剤が塗布してあり、塗装作業時の養生に使用します。 塗装用のマスキングテープには、テープ幅が12mm、15mm、18mm、24mm、30mmなどのサイズがあります。
なお、昨今はマスキングテープにあらかじめポリフイルムがセットされたマスカーが一般化しています。
(3)布テープ
粘着テープの1種で、布に接着剤が塗布してあり、外部の養生など接着強度の要求される箇所には布テープが使用されます。
布テープには、テープ幅が19mm、25mm、30mm、38mm、50mmなどのサイズがあります。
なお、昨今は布テープにあらかじめポリフイルムがセットされたマスカーが一般化しています。
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