研磨作業方法にはハンドファイルや当てゴムなどを利用して行う手研ぎと、サンダーを利用して行う機械研ぎがある。
(1)手研ぎ
手研ぎは、被塗物の形状が複雑な箇所や下地(ポリエステルパテなど)の大きな凹凸部を研磨するときに行われる。効率は悪いが、人の手で作業するため削りすぎることがなく、また、平滑面を形成するためには最も確実な方法である。
(2)サンダーによる研磨
サンダーによる研ぎは、手による研ぎのおよそ2倍以上の能率が上がる。また、使用する研磨紙は、手研ぎよりも1級粗い研磨紙を使用するので、目詰まりも少なく長持ちし、経済的である。また、作業者の疲労が少ないという利点もあるが、種類によって運動の仕方が異なるので、素地の種類、塗膜の種類に応じて、最も適する使い方をしなければならない。
サンダーには動力源によりエア式と電気式がある。エア式のほうが本体重量も軽く、素地研磨、塗膜研磨とも使いやすい。また、水研ぎができるのが最大の特徴である。電動式は音は小さいが本体がエア式に比べて重く、感電の恐れがあるので、安全上水研ぎには適さない。
これらのサンダーはポリッシャーとしても使われる。
a 電気によって動くもの
動力源に小型のモーター(100~110V)を用いて、その回転によって研磨ディスク、又は研磨紙の取り付けられたパットを動かすようにしたもので、電源さえあれば、どこにでも持ち運ぶことができ、簡単に作業ができるという点で、最も多く用いられている。
b エアによって作動するもの
いずれも圧縮空気の圧力0.4~0.7MPa(4~7kgf/)を利用して、回転、振動を起こさせるようにしたもので、動力源に電気を用いないため、水研ぎと併用できるようになっているサンダーもある。塗膜研ぎと兼用する場合には大変便利である。コンプレッサーを必要とするので、少々音が大きいのが欠点である。その他、所定の研磨紙の裏に接着剤を付け、ゴムパットの表面に張り付けて研磨できるものもある。
(3)ポータブルサンダー
現場作業に用いる手持ちサンダーをポータブルサンダーと呼ぶ。
a ディスクサンダー
パッド(研磨面)の動きが単純な円運動を描くため、旧塗膜のはく離、さび落とし、下地パテの粗研ぎなどの作業に使用する。ディスクサンダーは研ぎ足が目立ちやすいため、よい研ぎ足をつける。
b オービタルサンダー
パッドの中心軸は、だ円の軌跡を描く。このパッドは長方形が多く、また研磨面に当たる面が平面で、かつ面積が広いため、このサンダーは塗膜研磨やパテの面出し作業に適している。
c ダブルアクションサンダー
パッド自体が回転する上に、その回転軸がサンダー本体の中心軸から変身して回転しているため、複雑な軌跡を描く、また、パッドを研磨面に押し付ける力によってパッドの軌跡が変化するため、研ぎ足はより複雑になり、ペーパー目が目立ちにくくなる。それゆえ、このサンダーは中塗り塗膜の研磨やパテの面出しに適している。