浮きつけの基本条件は吹付け距離、運行速度、塗り重ねの三つである。
(1)吹付け距離
被塗物とスプレーガンの距離(吹付け距離)は、一般に、大型スプレーガンの場合20~25㎝、小型の場合15~20㎝程度とする。
吹付け距離が近すぎると塗膜が厚くなり、流れる。反対に、遠すぎると塗料が飛散して塗膜が薄くなり、塗料の損失が多くなる。また、乾燥の早い塗料を遠くから吹き付けると、塗面がざらつき、塗装面の光沢がなくなる。
(2)スプレーガンの運行
スプレーガンは、被塗物に対して直角に保持し、吹付け距離を一定に保つように運行する。スプレーガンを傾けたり円弧状に動かすと、膜厚が不均等になる。運行速度は、30~60㎝/秒程度とし、あまり早すぎると塗膜が薄くなり、遅すぎると流れを生じる。
(3)塗重ね
均一な膜厚とよい仕上がり面を得るためには、吹付けたパターン幅をある程度重ねることが必要である。塗り重ねの目安は、パターン幅の1/2程度がよい。吹付けたパターンを先端にノズルの中心がくるように、ガンを平行移動させていくと、パターンの約1/2が重なり、均一な膜厚を得やすい。
塗重ねで最も重要な点は、作業者が絶えず塗装面を見ながら均一な塗膜、肌ができていることを確認することである。
また、各部や水平面に対する吹付け操作は、最初に端を塗り、次に、オーバースプレーの霧がすでに塗った面に付着して肌荒れしないように、手前から吹き付けていく。
入隅部の吹付け方法は、次のように行う。
最初に周囲を塗布した後、左右の面ごとに分けて吹付ける。内側角に向かって吹付けると、塗料粒子が跳ね返って付着せず、膜厚が不均一になりやすい。
(4)スプレーガンの手入れ
a 使用直後
①洗浄液のみをスプレーし、塗料カップ及び塗料の通路を洗浄する。
②空気キャップの先端部をブラシで洗浄する。
③空気キャプをはずし、塗料ノズルをブラシで洗浄する。
④空気キャップを洗浄する。
b 定期的(数か月~6カ月ごと)
①先端部を分解し、塗料ノズルと空気キャップの穴を洗浄する。
②塗料カップと接続している塗料通路に付着している塗料をよく取り除く。
③塗料噴出量を調節するねじを緩めて分解し、ニードルの洗浄およびニードル弁パッキンを点検したり、ねじ部に注油する。