4.へら付け

(1)へら付けの目的

 へら付け作業は大きく分けると、次の三つになる。

①拾いパテ付け作業

②パテしごき作業

③下地へら付け作業

 拾いパテ付け作業は、塗装する面のくぼみの部分にパテを埋めて、他の面と同一の高さにするための作業である。使用するパテは、不飽和ポリエステル樹脂パテ、オイルパテ、ラッカーパテなどいろいろあるが、くぼみの程度、塗装条件、環境などを考えて選ぶ。

 パテの種類とその特徴については次のとおりである。

①ラッカーパテ

 肉もちは悪いが、乾燥が大変早い。作業はやりにくい。

②オイルパテ

 ラッカーパテに比べて肉もちはよい。乾燥が遅く、ラッカーパテより作業はしやすい。

③合成樹脂溶剤形パテ

 塩ビ、アクリル、ウレタン系、エポキシ系のパテがある。塩ビ、エポキシ系のパテは、主に壁面塗装に用いられることが多く、ウレタン系のパテは木材、金属、コンクリート、モルタル面の塗装に用いられる。

④不飽和ポリエステル樹脂パテ

 厚付けができ、深いくぼみでも一回で埋まる。

⑤その他

 水性下地、カシュー下地、漆さびなどがあり、各用途に従って使用する。

 パテしごき作業は、主に建築物塗装で、合板面、ボード面、モルタル面などの巣穴や凹凸などの肌直しのための作業である。

 下地へら付け作業は、下地塗料をへらで平たんになるよう厚く塗付け、下地の凹凸を修正し、上塗りの仕上がりをよくするために行われるものである。

 

(2)へら付けの方法

 へら付け作業では、へらを自由に操作できることが求められ、熟練を必要とする。基本的には、はけ塗りと同じで、配り、ならし、むら切りの3工程がある。

 この操作は、定盤と被塗物の間で交互になされるので、一定量の塗料又は下地材料を定盤の上に取り、練りべらでよく練って、粘度を調節する。

 次に、付け方について述べる。

①定盤の上の塗料を付けべらで取る。

②塗料が一定の厚さになるように力を加え、へらの腰を利用して引き延ばす。

③引き延ばすに従い、角度が小さくなるようにしながらへらを動かす。

④さらに気に均一にするため、返しべらを行う。反対の方向から返しべらを使ってならす。

⑤次に仕上げを行う。これは一定の角度で行う。

①~⑤の操作を、直角方向及び平行方向に何回か繰り返し、均一の塗膜としなければならない。しかし乾燥の早い塗料では、短時間に処理する必要がある。

 a 下地へら付け

 下地塗料、パテ類の下地へら付けは、被塗物の形状に応じた方法でしなければならない。平面では、へらの腰が強く弾力性のないもので、初めに面を平らにすることに主眼をおく。次に仕上げ面を美しくするためには、弾力性のあるへらで、へらざかい、へらまくら、へら継ぎのない様に仕上げる。また曲面の塗装では、へら付けは直線に近い方向にへらを操作し、研ぎ仕上げを前提にして、下地へら付けをしなければならない。へら腰も平面の場合より軟らかいものが作業しやすい。

 b 拾いパテ付け

 へら付けには、前面にパテ付けするほかに、部分的にパテ付けをする場合がある。これを拾いパテ付けという。拾いパテ付けは、下塗り、中塗り後、小さい傷を拾ってパテ付けするが、この場合、余分な箇所にできるだけパテが付着しないようにする。

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