6.工業化住宅

 現場施工主体で築き上げられる在来工法の木造建築は、多くの労力と工期を必要とする建築工法である。

 建築物の品質も、現場作業における各職種の能力の総合的なものが結果として表れるから、均一な品質を常時期待することは難しい。

 これに対して、工業化住宅は住宅の安全性・居住性・耐久性の性能は確保されやすい。基礎工事から完了までの工期も、在来工法に比べてはるかに短縮できるため、工業化住宅は増加・発展する傾向にある。建築塗装においても、今後塗替えの大いなる対象となる工業化住宅の現状を把握しておかなければならない。

 工業化住宅は、住宅生産工場で生産された部品・部材を建築現場に搬入し、あらかじめ決められた工程に従って、基礎工事から仕上げまで現場工事を進め、住宅を完成させるものである。

(1)工業化住宅の塗装

 工業化住宅の各部品・部材は、その大部分が工場塗装で施工されるので、現場塗装の分野は減少する傾向にある。今後、工業化住宅の塗装は、新規工事より塗替え工事に重点がおかれることになるが、現場塗装のものに比べて、工場塗装されたものの塗替えは難しいことを理解する必要がある。

 工場塗装では2液型塗料などの高性能塗料を使用するが、これは塗替え塗料とのなじみが悪く、付着力が低い。長い時間の経過により塗膜面に粉化、汚れ、浮き、割れなどの劣化が発生した段階で、塗り替える。工業化住宅では外壁材の種類が多く、表面の塗装仕上げも多様化しているので、その意匠性を維持するためにクリヤ仕上げとなることが多い。

(2)壁面の塗装仕上げ

 塗替え工事では、上塗り面が塗装下地となる。特殊仕上げには、そのほかに厚吹きスタッコ仕上げがある。工業化住宅では、工場生産による外壁パネルを現場搬入し、建方工事によって外壁を構成するため、左右のパネル間及び1,2階パネル間などに目地ができる。目地部はシーリング材などで防水性能が確保されているが、パネル間の目地が目立ちやすく、壁面としての一体感に欠ける仕上げである。

 外壁を目地のない大壁状に仕上げる目的で開発されたのが、厚吹きスタッコ塗装である。この塗装は現場施工によるもので、目地処理がこの工法の要点となっている。

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