木構造物に油性塗料が使用されたのは、1853年ペリー来航以降のことで、古くは渋屋・塗師屋が西洋建築の勃興につれて塗装職人になったといわれている。
昭和20年代には町場の塗装職人が渋金・渋辰などの名入りの半天を着用して仕事をする姿がよく見られたものである。塗料は油性調合ペイントを使用していた。昭和25年ごろより現在のアルキド樹脂塗料が登場し、次第に各種の合成樹脂塗料が登場してくるのである。
一般の住宅は、いわゆる在来工法(在来軸組工法)を呼ばれる建築構法で建築されたものが主体で、建築用材には、マツ、スギ、ヒノキなどが用いられ、木質系の外装には主にスギ材の下見板が使われ、その上に油性調合ペイントが塗られていた。また、スギ材による外塀には柿渋による黒色仕上げが行われ、独特の美装効果をもっていた。