2.鉄筋コンクリート構造

 鉄筋コンクリート造は、鉄筋とコンクリートのおのおのの特徴を組み合わせ、現場で、柱・はり・床はもちろん壁なども一体になるように打ち込んで作る構造をいう。

 この構造は、部材にはたらく圧縮力を圧縮に強いコンクリートにもたせ、引張力を生ずる部分には引張力に強い鉄筋にもたせるように力学的に組み合わせた構造である。

 このような2つの材料を組み合わせ、長所を発揮させると同時に互いに短所を補う。すなわち、コンクリートは鉄筋に防錆と耐火性を与え、鉄筋はコンクリートの引張りの強さを補う。さらにまた鉄筋とコンクリートは付着力が大きく、鉄とコンクリートは温度に対する膨張係数がほとんど一致しており、一定限度内で弾性係数が一定の比になるなどの特性がある。

 鉄筋コンクリート造は現場で型わくをつくって、柱とはりはもちろんスラブ、壁とも剛に結合するように施工する場合は、一体式構造となる。現在でも大部分の工事はこの形式をとっている。しかし、プレハブ建築のように、柱・はり・壁などの各部材を工場で生産しておいて、現場に運んで組み立てることがようやく盛んになろうとしている。この場合は架構式構造となる。

 鉄筋コンクリート造りに使用する鉄筋は、丸鋼と異形鉄筋があり、付着強度を要するときは異形鉄筋が用いられる。

 鉄筋は一般に径25mm以下を用い常温で加工する。鉄筋の継手はできるだけ応力の小さいところを選んで継ぐようにし、また鉄筋の末端部は必ず折曲げ(フック)をつけておかなければならないが、異形鉄筋を使用する場合にはフックをつけなくてもよい場合もある。

 鉄筋の定着部分の長さは、日本建築学会の建築工事標準仕様書JASS 5に定められている。また、鉄筋を継ぐには重ね継手と圧接継手の2つの方法がある。

 コンクリートは、セメントと骨材(砂利と砂)とを適当の割合に調合して水を加えて混練したものである。コンクリートは耐火、耐水、耐久性があり、圧縮強度も大きく、自由にいろいろの形がつくれるなどの長所をもっているが、欠点としては、引張りや曲げ強度が小さく、重量が大きく、乾燥収縮が大きい点などである。

 鉄筋コンクリートの鉄筋をさびさせないためと耐火のためには、コンクリートで完全に被覆する必要がある。これを鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚さ(一般に鉄筋のかぶり厚さ)といい、建築基準法では、最小限のかぶり厚さを定めている。

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