塗料の中に直接塗るものを浸して引き上げるので、俗に「じゃぶづけ」とか「つけ塗り」などとも呼ばれる。
同一の品物を数多く塗る場合の工法で、工場の製品塗装に用いられているが、建築の現場塗装にはほとんど必要がない。
(1)方法
塗ろうとするものを一定の短い時間沈めておき、すみずみまで十分塗料をいきわたらせてから引き上げる。余分の塗料は自重と流動性のために下方に流れ、平らな塗装面を作る。特に塗り方などというものはないので、未熟練者でも少し慣れればできるようになる。大切なのは、塗料条件の調整である。
(2)塗料の条件
塗料はたれ切れがよく上方と下方の塗膜が均等な厚さになり、最下部の塗料のたまりを、はけでぬぐう必要のないほど塗料が調整しやすいことと、長時間同じ塗料を使用しても、その間の溶剤の蒸発などによる粘度変化の調整が行いやすいことなどが必要である。
(3)利点と欠点
(a)利点
①技能的な熟練が必要である。
②塗料のむだがない。
③設備をすると、それ以上の費用が不要である。
④全面を一度に塗ることができる。
⑤厚膜塗膜が得られる。
(b)欠点
①塗らない部分には養生が必要となる。
②塗料の粘度調整をして、条件を決定するまでに時間がかかる。
③同系のものを大量に塗装するのでないと不経済である。
④乾燥炉を併用した流れ作業でないと効果的でない。
⑤速乾性の塗料には多くの場合不適当である。