3.有機溶剤の中毒予防について

 有機溶剤中毒は、吸収、循環、体内蓄積によって起こる。

 塗料に用いられている各種の溶剤の中には、有害物質を含有するものもあり、その蒸気を吸入すると中毒を引き起こすこともある。蒸気の濃度によって差があるが、この蒸気に接触、又は吸入した場合、眼や鼻などの粘膜刺激のほかに頭痛、意識障害などが症状として現れる。低濃度であっても長期間この吸入を継続すると、肝臓や腎臓など内臓に障害を与えることもあり、溶剤の種類によっては血液の組成に作用するものもある。

 有機溶剤の許容濃度は、空気中に含まれる溶剤濃度の容量比で表わし、ppmという単位を用いる。この許容濃度は溶剤の種類によって異なり、有機溶剤を含有したものを取り扱う作業場では、その含有された有機溶剤の許容濃度以下で管理するよう定められている。

 有機溶剤中毒の予防対策としては、

①容器にふたをしてできるだけ蒸気を発生させないようにする。

②作業場は窓などを開放して通風をよくする。

③通風のないところでは、換気設備による換気をする。

④換気のできない場所や換気の不十分な場所では、その濃度に応じて規格に合格している防毒マスクを使用する。

⑤タンク内など条件の悪い場所ではホースマスクを用いるなど万全の処置をして作業をする。

 万一、急性中毒症状が発生した場合は、ただちに新鮮な空気の場所に移し、頭を低くして寝かせ、早急に医師の診断を受ける。

 ※有機溶剤中毒予防規則の詳細については、労働安全衛生法の中に記述する。

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