2.塗装作業の安全衛生管理

1.安全衛生管理

 塗装作業を行うに当たっては、各自が定められた自己の職責をよく認識し、安全衛生の留意事項を遵守しなければならない。

 (1)安全衛生管理

 工事責任者は、現場に常駐するものの中から、必ず監督者を選任し、監督者の職務に安全衛生活動に係る業務を加えて実行させなければならない。

 (2)安全衛生管理体制の充実

(a)安全衛生管理組織の設置

 規模に応じ、各種管理者、責任者の選任、救急処置体制を制定する。

(b)危険防止対策

 機械、用具、その他の施設設備に潜む危険要因、爆発性の物質、発火性、引火性のある物、電気、熱、その他のエネルギーが持つ危険を未然に防止するために次の事項に留意する。

①場内の整理整頓、清掃を毎日行い、可燃物の整理、除去に努める。

②火元責任者を選任し、作業員の火災予防を督励する。

③喫煙所を定め、その場所以外での喫煙を禁止する。

④火器、火花を生ずる溶接工事、鋲打工事などは近隣、風下での作業を行わない。

⑤刃物、とがった工具などを使用する場合、取り扱いには十分留意し、定められた作業方法で使用する。

⑥高所作業を行う場合、工具にひもをつけるなど、用具の落下防止措置を行う。

(c)健康管理

 次にあげる物質・状況などに起因する健康障害の防止につとめる。

※有害物質を含有する原材料、有害ガス、溶剤の蒸気、各種病原体、放射線、排気ガス、有害性のある廃液、残さい物

※高温、低温、超音波、騒音、振動、異常気圧、粉塵、酸素欠乏症

(d)第三者災害を防止するための安全衛生措置

①塗装作業場所への立入制限

②乾燥養生中の周知徹底


2.塗装作業の設備と安全施設

 塗装作業においては、換気設備、塗装用機器、消火設備、保護具など多くの設備、機器及び足場などの施設が使用される。これらの点検、管理は作業者の安全と健康を守るために極めて重要な事項である。

 (1)足場

 作業用の足場は正しい架設方法と同時に足場材の強度が重要な条件である。足場を架設するにあたっては、足場組立解体作業責任者の指揮のもとに作業を行い、高さ2m以上の作業場所には定められた作業床を設けなければならない。つり足場を除き、幅は40cm以上とし、床材間のすき間は3cm以下とする。

 屋内塗装で一般に使用される足場は、多くの場合脚立である。機動性が高く利便性の高い反面、危険性ものあるので単独使用時には、安全帯を使用するなどの安全対策を併用することが望ましい。

 足場板を併用する脚立足場については労働安全衛生規則、第563条の中に定められた基準があるので図解により示す。

 (2)足場の組立等における危険の防止

  (足場の組立等の作業)

 則第564条 事業者は、令第6条第十五号の作業(足場組立等の作業)を行うときは、次の措置を講じなければならない。

一 組立て、解体または変更の時期、範囲及び順序を当該作業に従事する労働者に周知させること。

二 組立て、解体または変更の作業を行う区域内には、関係労働者以外の労働者の立ち入りを禁止すること。

三 強風、大雨、大雪などの悪天候のため、作業の実施について危険が予想されるときは、作業を中止すること。

四 足場材の緊結、取りはずし、受け渡し等の作業にあっては、幅20cm以上の足場板を設け、労働者の安全帯を使用させる等労働者の墜落による危険を防止するための措置を講ずること。

五 材料、器具、工具等を上げ、又はおろすときは、つり鋼、つり袋等を労働者に使用させること。

※ 労働者は、作業の性質上墜落の危険防止のための手すり等をやむなく取り外して作業を行う場合及び、前項第四号の作業において安全帯の使用を命ぜられた時は、これを使用しなければならない。

 (3)墜落・転落防止措置

 開口部等墜落のおそれのあるところでは手すりを設ける必要がある。手すりの高さは75cm以上とする。床材は転位したり又は脱落しないように2つ以上の支持物に取り付けることが規定されている。また墜落防止の安全ネットを張り、作業者に開口部であることを周知徹底し、周辺で作業を行う場合は、安全帯を使用させるなどの墜落防止の措置をとる。

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