セメントを主成分とするコンクリート、モルタル、PC版、各種サイティングボードなどの壁面に用いる塗料は、素材に起因する耐アルカリ性、耐水性などを備えたものが要求されます。
金属面用塗料や木部用塗料の項で説明を加えた大部分の塗料が適用できるので、ここでは壁面用を主にする塗料のみ解説を加えます。
(a)合成樹脂エマルションペイント及びシーラー(JIS K 5663 1種、2種)
水に不要なアクリル樹脂などを水に分散させた乳白色の樹脂で、エマルション樹脂と呼ばれています。
このエマルション樹脂に着色顔料や体質顔料、その他添加剤などを加えて塗料化したのが、合成樹脂エマルションペイントです。
品質は、JIS K 5663に規定されており、種類は1種の主に屋外用、2種の主に屋内用と分類されています。
合成樹脂エマルションペイントの屋外への適用は減少していますが、建築屋内用塗料として天井や壁面に使用され、大きな需要があります。
塗料は、水で希釈して塗装できるので作業性に優れ、環境や健康、安全にも優しくなっています。また、塗膜は通気性があるなどの特徴があります。
(b)つや有合成樹脂エマルションペイント(JIS K 5660)
合成樹脂エマルションペイントと同様の組成だが、つや有合成樹脂エマルションペイントの方が、水に分散された粒子の小さいエマルション樹脂を使用していて、配合される顔料の量も少ないです。
昨今は環境問題から水性化が進んでいて、種類も様々あります。例えば、アクリル樹脂タイプ、ポリウレタン樹脂タイプ、シリコン系樹脂タイプ及びふっ素樹脂タイプなどがあり、性能レベルは一段と高まっています。また、水に合成樹脂を分散しているエマルション技術を応用して、1液中に樹脂と反応剤を同時に分散することができることから、1液反応硬化形もあります。
(c)合成樹脂エマルションパテ
パテは、合成樹脂エマルション、顔料、充填剤などを主な原料とし、十分に混合して作ったペースト状塗料で、モルタル、コンクリート、せっこうボード、合板などの表面を合成樹脂エマルションペイントで仕上る場合の下地ごしらえに使用します。
種類は、耐水形薄付け用、耐水形厚付け用、一般形薄付け用、一般形厚付け用です。耐水形は耐水性の要求される場所に使用しますが、一般塗料に比べると耐水性が劣ります。また、外部への適用は避けます。
薄付け形は1回の塗付け膜厚が最大0.5mm、厚付け形は1.5mmになるように設計されています。