3-3-1 油性系塗料

(1)油性系

 油性系塗料は乾性油を樹脂に使用した、塗料としては最も古いタイプで、その需要は減少の一途を辿っています。その種類はボイル油系と油性ペイント系に分けられます。

 ボイル油系はボイル油、煮あまに油、地塗りボイル油などがありますが、現在、主に流通しているのはボイル油です。

 油性ペイント系はボイル油に顔料を混合したもので堅練ペイント、油性調合ペイント、油性調合色ペイントがありますが、油性調合ペイントがかろうじて残っている程度です。

 (a)ボイル油及び煮あまに油(JIS K 5421)

 ボイル油は乾性油、反乾性油に乾燥剤(ドライヤー)を加え、加熱しながら空気を吹き込んで製造されるもので、油を部分的に酸化させて乾燥を早くしたものです。煮あまに油はボイル油に、ほかの油を加工したものです。代表的な油に、あまに油、大豆油、しなきり油などがあります。

 (b)油性調合ペイント

 油性調合ペイントには、白顔料に亜鉛華を使用した油性調合白亜鉛ペイントと、酸化チタンを白顔料に用いた油性調合チタン白ペイントがありますが、従来のJIS K 5511油性調合ペイントでは、「油性調合ペイントは、着色顔料、体質顔料などを主にボイル油で練り合わせて作った液体・自然乾燥性の塗料である」と定義しています。

 (c)合成樹脂調合ペイント(JIS K 5516 1種 2種)

 合成樹脂調合ペイントは、着色顔料・体質顔料などを、主に長油性フタル酸ワニス(油の量が56%~65%)で練り合わせて作った液体・自然乾燥形の塗料です。JIS K 5516には1種と2種中塗り用、2種上塗り用があります。1種は主に建築用及び鉄鋼構造物の中塗り・上塗りに用います(同じ塗料を2回塗りする)。重ね塗り乾燥時間が16時間以上又は24時間以上と規定されたものが多く、油性調合ペイントよりは乾燥時間は早いが、フタル酸樹脂エナメルよりは遅い位置づけにあります。1種、2種の違いは、2種には中塗り用があることで、中塗り用は超長油性(油の量が65%以上)にしてあり、中塗りのまま放置されても上塗りとの付着性が悪くなりにくいように配慮してあります。屋内に使用する場合、特に建築基準法に基づくF☆マークが、F☆☆☆、F☆☆があるので注意が必要です。最近は、F☆☆☆☆を表示した商品もあります。

 (d)フタル酸樹脂エナメル(JIS K 5572 1種、2種、3種)

 フタル酸樹脂エナメルは一般機器、建具などの上塗りに用いる塗料で、着色顔料・体質顔料などを乾性油変性フタル酸樹脂ワニス(中油性で油の量が46%~55%)で練り合わせて作った自然乾燥形の塗料です。JIS K 5572には1種、2種、3種がありますが、1種は主に屋内用、2種は主に屋外用、3種は主に屋内外で、特に速乾を要する用途に用います。屋内に使用する場合、特に建築基準法に基づくF☆マークが、F☆☆☆、F☆☆があるので注意が必要です。

 (e)油変性エポキシ樹脂塗料

 エポキシ樹脂を油変性したもので1液形の自然乾燥形塗料です。油性系塗料としては付着性、耐薬品性、耐久性がよく、耐薬品雰囲気条件などに使用されます。

 (f)アルミニウムペイント(JIS K 5492)

 アルミニウムペイントは、塗料用アルミニウム粉又はアルミニウムペーストと油性系ワニスを混合したシルバーペイントです。塗装すると、塗膜表面にアルミニウムが浮き、鱗片状に配列してアルミニウム皮膜を形成したようになります。銀色に仕上り熱、光の反射が大きいため、タンクなどの内面温度が上昇するのを防ぐ効果があります。また、鱗片状に配列したアルミニウムは水などの透過を防ぎ、防食性を向上させます。

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