作業時の服装

 作業するための服装は、作業のやりやすさや、事故または災害から身を守ることを目的として着用する。

 塗装作業をする場合、作業する方法や場所によって異なる。

①作業するときは、目的に応じた作業帽、作業服、作業靴を着用する。

②服装は、自分の体格に合わせ、作業しやすく安全を考慮したものを選ぶ。

③ボタン、ホックは必ずかけ、首や腰にタオル、ウエスなどを下げない。

④作業服は、常に清潔に保つ。

⑤ライター、マッチなどの点火源を所持しない。

保護具

 作業内容によっては、事故や災害を防ぐために目的に適応した保護を着用する。塗装作業で使用する主な保護具の種類と用途は下記のとおりである。

①安全帽

 頭部を保護するための安全帽は、危険を伴う作業場所や重量物又は金属のような強固な製品等を加工、運搬している場所など、一般に安全が十分に確保できない場合に着用する。工場内では、製品ライン区域や運搬場所などで作業する場合に必ず着用する。建設現場は、日々行為が進行し現場の様子が変化することから、工事敷地内では場所を問わず必ず着用を義務付けているところが多い。建築塗装の場合は、足場を使用した作業が多いことから、工事の規模を問わず安全帽を着用する。

②保護めがね

 保護めがねは、シンナーや塗料などの有害物質を取り扱うときや研磨作業時に、異物が目の中に混入することを防止するために着用する。

③防毒マスク

 防毒マスクは、有機溶剤による中毒防止や有害物質の吸入防止を目的に、溶剤形の塗料を使用するときに着用し、防塵マスクは咽頭や肺を保護するために、研磨作業のような粉じんが発生するときに着用する。

④保護手袋

 手を保護することを目的に着用する保護手袋は、溶剤を使用するときは衛生用の樹脂製の手袋を、資材運搬や汚れを伴う作業の時は皮製又は布製の手袋を着用する。

⑤安全靴

 安全靴は、重量物又は金属のような強固な製品等を取り扱う場所や、足元の環境が悪い場所で着用する。静電塗装を行う金属塗装の工場では、人体に帯電させないために導電性の靴を着用する。

⑥安全帯

 足場からの墜落を防止するために着用する安全帯は、特に建設現場ではその着用が義務付けられている場合が多い。安全帯のフックが掛けられるようにロープや単管が設けられているが、墜落事故の多くは安全帯を着用しているだけで、フックを使用していない場合に発生している。また脚立を使用した作業の場合、手には材料や工具等を持ち、また安全帯が使用できるようなロープや単管などが設けられていない状況が多いため、脚立が転倒したり墜落したときに重大な災害になることが多い。そのため、今日では、脚立の使用禁止(持ち込み禁止)の建設現場が多い。

安全装置

 安全装置とは、機械や工具などを取り扱うとき、事故や災害の可能性のある箇所に安心して作業できるよう、あらかじめ防御装置を設置した器具や装置である。これらの安全装置は、一般的に機器製造メーカーで取り付けてあるが、作業場によっては新たに安全を配慮した装置を取り付けたり、別途安全処置を施す必要がある場合もある。

 安全装置が設置してある理由をよく理解し、有効に使用する。

 また、使用する前にその機能を点検し、以上があれば直ちに交換、修理を行う。

 安全装置は、作業効率を低下させるものではなく、事故や災害から人命を守る大事なものである。

整理整とん

 整理とは不必要なものを片づけることであり、整とんとは必要なののを所定の保管場所へ、使いやすいように正しく置くことである。整理整とんの実行によって作業者全員が作業しやすくなり、効率も良くなる。例えば、多種の塗料を取り扱う場所では、品名、数量などが分かるように整とんしてあれば、過不足の塗料が速やかに判断できる。ただし、危険物の保管は消防法によって安全上規制されているため、その内容を十分に理解したうえで整とんする。

 整理整とんを行うために、次のような心得を実行する。

(1)整理整とんの基本となる五つの心得

①まず散らかさないように心掛け、散らからないように工夫する。

②いらないものはすぐに片付け、気が付いたらすぐに直す。

③定められた場所(置くべきところ)にものを置く。

④正しい置き方、安全な積み方をする。

⑤いつも清掃し、清潔にする。

(2)もののしまい方五つの心得

①出し入れの多いものは、すぐ出せるように便利なところに置く。

②小さな工具、部品類は用途別に保管する。

③崩れやすいものは、当て木を当てて整とんする。

④燃えやすいものや発火しやすいものなど危険なものは、別にまとめて保管する。

⑤品名、数量が分かるようにきちんと整とんする。

健康管理

 不健全な心身は運動不足、暴飲暴食、睡眠不足、ストレスなどによって生活リズムが乱れ、疾病を招きやすい状態にある。このような状態は、作業効率を低下させるだけではなく、事故を引き起こす間接的な要因にもなり得る。こうした点で、作業者は常日ごろから自己の健康管理に努める必要がある。

 また、健康な状態を保つ上で一般健康診断や有機溶剤が含まれている塗料などを取り扱う作業者を対象とした有機溶剤健康診断を受診し、自己の健康状態を把握しておく必要がある。

 安全衛生作業の心得は、次に示すとおりである。

①整理整とん

②作業服の着用

③保護具は必要に応じて着用

④安全装置は勝手に取り外さない。

⑤常に健康管理に留意し、定期健康診断を受ける。

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