2.金属系素材

2-1.鉄鋼材

 鉄鋼は、現在最も多く使用されている金属材料です。鉄の化学的性質は高温で著しく酸化して、酸化物の厚い膜(黒皮あるいはミルスケールと呼ぶ。)を生成しますが、これは密着が弱いので、このまま塗装すると、はく離の原因になります。常温でも酸素と水分(湿気)のあるところでは腐食して赤錆を生じます。海水、化学薬品、特に酸に対する耐食性はよくありませんが、アルカリに対してはきわめて強いです(鉄筋鉄骨コンクリートには鋼材にさび止めを塗装しません)。

 鉄鋼材には熱間圧延された形鋼があります。形鋼はその断面系により山形鋼(等辺山形鋼、不等辺山形鋼)、I形鋼、溝形鋼、T形鋼、H形鋼などがあり、建築、土木、船舶、車両などの構造体に用いられます。

 軽量形鋼はその断面形により、溝形、Z形、山形などがあり、板厚は1.6~4.0mm程度の薄厚で、近年軽量鉄骨構造に多く使用されています。板厚が薄いので防錆処理を入念に行う注意が必要です。


2-2.軽金属材

 鉄鋼に比べて比重が小さい(普通4以下)ものの総称で、代表的な建築用材にアルミニウム、ステンレス、チタンなどがあります。外装用(屋根、外壁など)、建具サッシ用など用途が広い。

 アルミニウムは軽量で、表面が安定した緻密な酸化物の保護皮膜で覆われているので耐食性がよく、色彩も銀白色をはじめブロンズや黒色など色の種類も多い。ただし、海岸の周辺においては塩害による劣化が激しく、十分な選択が必要です。塗装する場合はエッチングプライマーや変性エポキシ樹脂塗料などで下地処理や下塗りを行います。ステンレスは高価ではありますが耐久性に富み、強度もあるためにサッシや外壁パネル、屋根、装飾用の構造材としても用いられ使用範囲が広い。その他最近では、チタンの屋根材などが普及してきており大規模の屋根に使われるようになってきています。いずれにしても塗装する場合は、メーカーの使用に則り下地処理を十分に行う。


2-3.亜鉛めっき鋼材

 鋼材の腐食を防止するためにその表面に亜鉛の被膜をほどこしたもので、溶融亜鉛めっきと電気亜鉛めっきの2つの方法があります。代表的なものに亜鉛鉄板、亜鉛めっき鋼板などがあります。亜鉛鉄板(通常はみがき鋼板に溶融亜鉛めっきしたもの)は耐久性に優れ、建築用では屋根材、外壁材として多く用いられます。価格も比較的安価であるため需要が多いです。

 一般に平板と波板があり、厚さは0.2~3.2mmの間に18種類あります。

 亜鉛めっきに塗装する場合は十分な下地処理が必要です。密着用の下地処理を行わないとはく離を起こしやすいです。そのため工場で焼き付けたカラートタンが多く用いられています。

 その他、亜鉛めっき鋼材をクロム酸処理したボンデ鋼板などは塗料の付着性がよく、耐食性にも優れています。この時使用する下塗りは変性エポキシ樹脂塗料がよいです。

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