3-3-4 木部用塗料

 木部用塗料は、建築現場で塗装するものから、工場や加工場などで製作時に塗装する建具や家具類まで種々塗料があります。

 これらの木部用塗料は木の材質、塗装の目的に応じ多くの種類の中から適切な塗料、塗装仕様を選択しなければならないが、最近建築現場塗装では木部塗装は減少傾向にあります。

 木部用塗料は油ワニス系、合成樹脂調合ペイント系、カシュー樹脂塗料系、ポリウレタン樹脂ワニス系、ポリウレタン樹脂塗料系などに代表されています。

(1)油ワニス系

 油性ワニスは天然樹脂、合成樹脂、加工樹脂と乾性油、乾燥剤などを加え、ミネラルスピリットなどの溶剤で希釈したものです。

 種類にスパーワニス、コーパルワニス、ゴールドサイズなどがありますが、使用頻度は激減しています。

(2)合成樹脂調合系

 この分類に入る合成樹脂調合ペイントやフタル酸樹脂エナメルは、金属面用塗料の項で説明を加えました。

 (a)油変性ウレタン樹脂塗料

 一般にウレタン化油又はウレタン化アルキド樹脂といわれるもので、ジイソシアネートと乾性油との反応混合物で、油はあまに油、大豆油などが使用され、一般にクリヤで塗装されます。

 クリヤ塗膜は光沢がよく、耐摩耗性に優れ、作業性が良好なことから木部の床などに多く使用されています。

(3)カシュー樹脂塗料

 カシュー樹の実であるカシューナッツの外殻より採れる樹液を原料として、これにフェノール樹脂などと乾性油、溶剤を加えて作る塗料で、天然漆に似た性質を持った塗料です。

 作業性がよいことから木工用だけでなく、金属用にも漆の代用品として使用されています。

(4)湿気硬化形ポリウレタン樹脂塗料

 塗装する空気中の湿気(水分)と反応して乾燥するタイプです。

 したがって、開缶した塗料は早期に使い切らないと、空気中の湿度と反応して硬化して使えなくなるので注意が必要です。

 塗膜性能は光沢が高く、硬度、耐摩耗性に優れているため、学校、体育館などの床用に使用されますが、塗料タイプはクリヤが主流です。

(5)不飽和ポリエステル樹脂塗料

 不飽和ポリエステル樹脂を主とした塗料液と硬化剤・硬化促進剤の3液形と、予め塗料中に促進剤を加えてある2液形があります。

 硬化時に空気と触れるのを嫌うパラフィンの入ったタイプ(ブリードタイプ)と、パラフィンの入らないタイプ(ノンブリードタイプ)があります。

 この塗料は一度で厚膜に塗装できるので木製の化粧版や木部の塗装に用いられます。特に表面硬度が高く、耐摩耗性、耐汚染性に優れていて、鏡面状に仕上がるため、ピアノや高級家具などの塗装に用いられます。

 欠点は耐アルカリ性に劣ることで、コンクリートやモルタルなどのアルカリ性下地には使用しません。

(6)セラックニス

 昆虫の分泌液から出来るセラックを変性アルコールに溶解して作ったワニスで乾燥が早く、硬度はあるが、耐水性は悪いです。

 セラックニスには漂白した白ラックニスとセラックニスとがあります。

 用途としては、木材の節止めや木製家具などに用いられます。

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