1-1-3 主な溶剤の特性

 溶剤の一般的な共通した性質として、

  ①油、樹脂などをよく溶かす

  ②室温で無色、液体、揮発性、中性である

  ③貯蔵安定性に優れ、水と混ざらないものが主である

 などがあげられるが、これらの性質以外に、各種溶剤はそれぞれ特有の性質を持っています。

 

(1)アルコール類

 アルコール類は、工業用溶剤で最も重要な種類の一つであり、その特徴は構造式に水酸基(-OH)を持つことから、水に溶けることです。

 

(2)ケトン類

 ケトン類は、炭化水素系溶剤に対してよく混ざる性質があり、樹脂の溶解力も高いです。希釈剤の真溶剤として使用されます。

 

(3)脂肪族炭化水素類

 ミネラルスピリットに代表される溶剤で、一般的には塗料用シンナーに使用され油性系塗料の希釈剤として用いられます。

 

(4)芳香族炭化水素類

 トルエン、キシレンに代表される溶剤で、塗料用溶剤として最もよく使用されています。

 合成樹脂系塗料用希釈剤は、トルエン、キシレンをベース溶剤として使用し、これらにケトン類、エステル類などの溶剤を混合したものが多いです。

 ただし、キシレン、トルエンは有害性が強いので取扱いには注意が必要です。

 

(5)エステル類

 エステル類は芳香性を持ったものが多く溶解力も高いです。

 ラッカーや塩化ビニル樹脂塗料などの真溶剤として使用されます。

 

(6)エーテル類

 エーテル類は、その種類によって合成樹脂への溶解力が異なりますが、エポキシ樹脂塗料用希釈剤に多用されています。

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